English-Rakugo
English-Rakugo
English-Rakugo What is Rakugo Books English-Rakugo
English-Rakugo Performer BBS English-Rakugo
English-Rakugo Performance Mail English-Rakugo
English-Rakugo Infomation Toppage English-Rakugo
English-Rakugo
English-Rakugo
English-Rakugo
Current English TOP・英語落語の目的

英語落語のプロデューズを始めて、5年目になります。これまでに落語家(笑福亭鶴笑、桂かい枝、桂あさ吉)のメンバーと一緒に、アメリカやシンガポール、ノルウェイなどで海外公演をしてきました。いまのところとても好評で、どの国の会場でも大爆笑を勝ち取っています!でも、英語落語はただ単に外国の人を笑わせるだけが目的ではないのです。私の場合、異文化コミュニケーションにおけるユーモアの効果について研究をしていました。ユーモアや笑いに包んだメッセージは相手に受け入れられやすい、という効果があるのです。だから、コミュニケーションのときに本当に言いたいことを、うまいジョークにくるんで伝えると、笑いながら相手は聞いてくれるのです。特に、異文化コミュニケーションになると、異なる文化を相手に伝えるのですから、もっと大変です。でも、笑いがあると相手は寛容に受け入れてくれるのです。日本文化を笑いながらよりよく理解してもらう、というのが英語落語海外公演の一番の目的なんですね。
たとえば、よい例が「時うどん」に出てくる、うどんをズルズルと音を立てて食べる場面。欧米では、悪いマナーとされています。ところが、落語で説明をしながら、笑わせながら演じると、欧米の観客も「ああ、日本ではそうなんだな」とサラっと受け入れてしまうのです。アンケートでは、「今度是非日本へ行って音を立ててうどんを食べてみたい!」という意見があったほどです。さらに、落語は会話で構成されていますから、落語を英語にすると英会話のダイアログが出来上がります。つまり、英会話の勉強にはもってこいなのですね。一人でぼけて、一人でつっこめるという、一人でできる英会話の材料です。

・「時うどん」日英対訳

それでは、英語落語の「時うどん」(CD:桂あさ吉)の原稿をちょっと見てみましょう。ここには噺の前半部分を掲載しています。さて、後半はいったいどうなるのでしょう。表現のポイントなどをチェックしてから聞いてみてください。

Current English P16Time-Noodles

N: narration U-1: Udon-ya 1 U-2: Udon-ya 2
U-1: Udo--n Soba-- Iya-au--
Seihachi: Hey, Mr. Noodle-man!
U-1: Hei hei. Welcome to my noodle shop.
Seihachi: One bowl of hot noodles, please.
U-1: Hei hei. Thank you.
Seihachi: Ah-, It's very cold tonight, isn't it?
U-1: Yes, it is especially cold tonight.
Seihachi: I can't stand it, really. A cold night like this, I want to eat something hot and warm my stomach.... I heard your voice, so I ran to your noodle shop, so please hurry. By the way, how is business? ...What? Not good?... Well, it happens. It is not just you, but everybody... Don't worry, good times will follow bad times in business. You see, you will get busy, that's why it is called a business. Oh, oops, you already knew that, didn't you? I shouldn't have said that.
U-1: No, sir. Thank you.
Seihachi: By the way, what's the name of your shop? What? BINGO... It is called BINGO?! That's good! I am going to a casino after this. This is good luck for me! I'm going to win!
U-1: That's nice. You'll have a good time..... Hei hei, here you go.
Seihachi: Is it ready already!? You are so quick! Very quick! I have a short temper. When a noodle-man is slow, I don't even feel like eating. But you are good. Let me see... Oh, you provide new chopsticks! Usually, other noodle shops provide old chopsticks. Who knows if they are clean or not. ... This bowl is very pretty. Only this one? No? All bowls are pretty? You are very good! Usually, other noodle shops use bowls with cracked and chipped edges. This is nice! Humm, this smells good. I eat noodles almost every night. I can tell if the noodles are good or not by their smell.
(Sound of eating noodles) Oh, good soup. This is fish broth, isn' it? I know, I know! I eat noodles almost every night. (Sound of blowing on and eating noodles) Oh, good noodles. Sometimes noodles are too soft and soggy. They are no good. Noodles should be nice and firm. Your noodles are perfectly firm. These are good. (Sound of blowing on and eating noodles) Oh, look at this fish cake! This is very thick. Usually, other noodle shops cut fish cake very thin, like a piece of paper. (Eating fish cake) Ah, yes, this is real fish cake. Sometimes other noodle shops use sponge cake instead. That is terrible. It is something for a sick person to eat. (Sound of blowing on and eating noodles) Ah, they were delicious! I could eat another bowl of noodles, but may be not today. How much is it?
U-1: Hei hei, It is sixteen mon.
Seihachi: I see, sixteen mon... I have small change. Can you give me your hand? U-1: Yes, of course. Hei hei, small change would be better.
Seihachi: O.K., noodle-man. I'll pay you one coin at a time. One, two, three, four, five, six, seven, eight, ...oh Udon-ya, what time is it now?
U-1: Ah-, nine.
Seihachi: ...Ten, eleven, twelve, thirteen, fourteen, fifteen, sixteen.
U-1: Hei hei, sixteen mon.
Seihachi: I will come back sometime.
U-1: Thank you.
N: So this clever man left the noodle shop. SAYONARA! Another man was watching the whole thing from behind a wall. He is a little slow in the head.
Kiroku: Wow... He gave the noodle-man so many compliments. But he still paid the money. I thought, with so many compliments, he was going to ask for a discount. Anyway, he asked a strange question... One, two, three, four, five, six, seven, eight, ....what time is it now? It's nine. Ten, eleven, twelve, thirteen, fourteen, fifteen, sixteen. .... Why did he ask such a question? And he paid exactly sixteen mon. One, two, three,.... what time...., ten, eleven...?
A- HA!!! A-, A-, A-, I see! That was a good trick!! I am going to do exactly the same thing tomorrow night!
B-

Current English P17時うどん

うどん屋1:うどーん そばー いやうー
清八:おい、うどん屋!
うどん屋1:へえへえ、いらっしゃいませ
清八:熱いうどん一つ、ちょうだい
うどん屋1:へえへえ、ありがとさんで
清八:あー、今日は寒いねえー
うどん屋1:ええ、今日は特に寒いですね
清八:ほんと、がまんできないよ。こんな寒い夜には、何かあったかーいモンでも食べて腹の中から温まりたいね。。。うどん屋さんの声が聞こえたから走ってきたんだよ、だから急いでくれよ。ところで、商売の方はどうだい?。。。何?あまり良くない?。。。まあー、よくあることだ。きみンとこだけじゃない、みんなそうなんだから。。。心配するな、商売ってのは悪いことの後にはいいことがある。ビジネスっていうくらいだから、そのうちビジー(忙しく)なるだろうさ。おおっと、そんなこともう知ってたか。余計なこと言っちゃったな。
うどん屋1:いえ、ありがとうございます
清八:ところで、この店の名前は何ていうんだい?何?ビンゴ。。。ビンゴっていうの?そりゃあいいや!俺はこの後、バクチに行くんだよ。縁起がいいねえ。俺は勝つよお!
うどん屋1:それはいいですねえ。お楽しみください。。。へえへえ、おまちどお。
清八:もうできたの?きみ、早いねえ。俺は短気だからね。うどん屋が遅いと、もう食う気がしないの。けど、きみはいいねえ。どれどれ。。。おっ、きみンとこ新しい箸出すの!たいてい、他のうどん屋は古い箸出すんだよ。きれいなんだかどうだか、わかったもんじゃない。。。この器、きれいだねえ。これだけ?違うの?器は全部きれいなの?きみ、いいねえ!たいてい、他のうどん屋はヒビがいってたり、端が欠けてるような器を出すんだよ。これはいいね!う〜ん、いい匂いだ。俺はほとんど毎晩うどん食ってるからね。匂いでうどんの良し悪しがわかるんだ。
ジュルジュル んー、いい出汁だ。これはかつおダシだね?わかってる、わかってるって!俺はほとんど毎晩うどん食ってるから。フーッフーッ ズルズル んー、いい麺だ。たまに、麺がやわらか過ぎてベチャベチャしてるだろ。あれは良くないね。麺はこしがなくっちゃ。きみンとこの麺は完璧にこしがあるよ。これはいいね。フーッフーッ ズルズル おっ、このかまぼこ見てごらんよ!これ、厚ぼったいよ。たいてい、他のうどん屋は紙みたいに薄っぺらに切るからね。(かまぼこ食べる)んー、よし、こりゃあホンモノのかまぼこだ。たまに、他のうどん屋じゃあ代わりにスポンジケーキ使うからな。ありゃあひどいよ。あれは病人の食うもんだよ。フーッフーッ ズルズル あー、おいしかった!もう一杯くらい食べられるとこだが、今日はこのくらいにしとこ。いくらだい?
うどん屋1:へえへえ、十六文です。
清八:なるほどね、十六文。。。お金が細かいな。手え貸してくれるか?
うどん屋1:もちろんです。へえへえ、小銭の方がありがたいくらいで。
清八:よし、うどん屋。一文づつ払うぞ。一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、七つ、八つ、おっと、今何時(なんどき)だい?
うどん屋1:えー、九つ。。。
清八:十、十一、十二、十三、十四、十五、十六。
うどん屋1:へえへえ、十六文で。
清八:また来るからな。
うどん屋1:どうもありがとうございました。
地: で、この賢い男はまんまとうどん屋を立ち去りました。サヨナラ!この一部始終を物かげで見ていた男がおります。この男、ちょっとトロいんであります。
喜六:うへー、あいつメチャメチャうどん屋を誉め倒していったな。けど、ちゃんと金払ってるもんな。あんだけ誉めてるんだから、値切るのかと思ったのにな。それにしても、あいつヘンなこと聞いてたな。。。一、二、三、四、五、六、七、八。。。今何時だい?九つ。十、十一、十二、十三、十四、十五、十六。。。あいつ、なんであんなこと聞いたんだ?しかも、きっちり十六文払ったよな。一、二、三、。。。何時。。。十、十一、。。。?ああっ!あーあーあー、なるほどね!そりゃいいトリックだ!明日の夜、まったく同じことをしてやろう!
Current English P18・表現のポイント

I can't stand it.
がまんできない!という意味ですが、直訳すれば「立っていることができない」ですね。日本語にも「いても立ってもいられない」という表現があります。あまりにも耐えがたい状況では、じっと立っていることができなくなる、というのは共通するようです。

stomach
本来は「胃」という意味です。腹はbellyといいますが(腹踊りのことをベリーダンス"belly dance"というでしょ)これはむしろ腹の外側のことで、何かを食べて腹の中から温まる、というような時にはstomachを使います。

short temper
temperだけで、きげん、気性といった意味があります。短い気性、で短気だからわかりやすいですね。ただしI have a temper.といいたら、私はかんしゃく持ちです、という意味です。 I am in a good temper.(私は機嫌がいい)のように、良いという意味の言葉がつかない場合、temperはどちらかというと、気性が荒い、怒り、などの意味に使われることが多いです。

fish broth
魚のダシ。味噌汁を説明するのに使えます。The base of Miso soup is fish broth with paste of soy beans. また、鶏ガラスープのダシなら、chicken broth。

fish cake
かまぼこのような、魚のすり身をかためたような食品を英語ではfish cakeと呼んでいます。ケーキのcakeですね。ちなみに、お餅はお米のケーキでrice cakeです。

provide
提供する、という意味ですが日本語ほど堅いニュアンスのことばではなく、日常使われます。インターネットのプロバイダーの語源、といえばわかりますよね。

a piece of paper
一杯のうどんがa bowl of noodlesであるように、一枚の紙をa piece of paper といいます。a pieceでひとかけら、一片、といった意味ですが、この場合はかまぼこのうすっぺらさをより強調するのに、一枚っぺらの紙のよう、という表現を使っています。ちなみに、piece of cakeで「そんなのカンタンだよ!」という意味になります。

They are no good.
正確な英語ではThey are not good.ですが、口語としてこのような言い方をすることがよくあります。

small change
小銭、という意味です。またchangeだけで、おつりという意味があります。買い物をしておつりを受け取るときに、店の人が "Here is your change."(おつりをどうぞ)と言っているのを聞いたことがありませんか?

slow in the head
頭の中がゆっくりしている。。。つまり、頭の回転が少々遅い、という意味です。もちろん、誉め言葉とは言えませんね。

There is a poor Udon-ya for me.
poorというからには、ビンボーなうどん屋。。。?と考えられないでもないですが、この場合は状況からして「オレにだまされるためにいる、かわいそうなうどん屋!」と解釈します。捨てられた子犬などを見ると、思わず出てしまう言葉にも、poorがつきますよね。"Poor little thing!"(なんてかわいそうな子!)

soggy
じめじめした、グニャグニュ、ベチャベチャ、といった感じを表現する言葉。英語では、日本語ほど擬音が充実していないので、このような言葉で表現するのですね。

No way!
ぜーったいにイヤ!ダメ!というNoの強調。とても驚いた時に、「信じられない!」の意味でもよく使われます。

Current English P19・シャレの作り方

今回の「時うどん」から例を一つ見てみましょう。最初の店の名前をビンゴにしたのには、理由があります。もともと日本語の落語では、当たり屋という店でした。そして、後から出てくる店の名前は、はずれ屋。これからばくちに行こうとする人にとっては、対照的な店の名前ですよね。これを、英語でどうするか、を考えたわけです。
店の名前らしく、意味もある言葉をいろいろ考えたあげく、ビンゴつまり、あったりー!という意味の言葉を最初の店にしてみました。そして、後半はばくちに行きたくなくなるような言葉。。。、ドンゴにしました。ドンゴという言葉はないのですが、Dongo, dongo, don't go...行くな!という意味にひっかけられるのですね。語感もビンゴに似ているし、いい造語だと我ながら感心しています。

・訳し方

英語落語の翻訳作業は一人でしょっぽりやるのですが、とてもにぎやかなものです。なにせ落語は会話ですから、しゃべり言葉です。だから、バンバンしゃべります。日本語でしゃべって、英語で同じセリフをしゃべって、「ああ、そんな言い方するな」とか一人納得、一人笑いして原稿は仕上がっていきます。
そんな中でも、結構緻密な工夫も必要になってきます。ただ直訳しただけでは、エンターテイメントとして成り立ちません。たとえば、言葉のシャレなどは翻訳できませんよね。だからといって、抜かしてしまうと笑いどころの少ない英語落語が出来上がってしまいます。英語落語なのだから、英語の面白みを使うことが大事です。
今回収録した「時うどん」にも、言葉のシャレがいくつも入っています。特に、前半部分の言葉にかけて、後半部分でシャレになっているものがあります。しっかり聞き取って笑ってくださいね。

Current English P20・聞くときのポイント

CDの桂あさ吉さんの英語落語を聞いてもらえればわかりますが、決してネイティブのような発音ではありません。でも、それでいいのです。現地でも十分通じて、客を沸かせることができています。発音が悪いから、恥ずかしくて英語を堂々としゃべれない、という人はたくさんいます。でも、本当に早く英語が上達する人は、そういった羞恥心をかなぐり捨てた人ですよ。いいじゃないですか、日本人なんだから日本人らしい発音で。それが、アイデンティティになるわけです。その方が相手も楽しかったりするわけです。ああ、日本の人なんだな、って。
アクセントの位置を知っておくなど、通じやすくするためのポイントはあります。例えば、1つのセリフ(英語ではa line)をいうのに、その文のなかで一番のキーワードとなる語を強く発音したりします。“By the way,how is the business?”というセリフは、businessを一番強くいうといいんですね。内容を考えて、間を作ったりもします。わかりやすいところでは、By the wayとかAnywayの前では、話題が変わろうとしているわけですから、当然間を持つべきですね。そうやって少し工夫すると、棒読みするより、ずっと感情がセリフに乗っかり、聞く側にとってもわかりやすくなるのです。でも、一番重要なのは自分が楽しく、楽しいことをしゃべる、ということではないでしょうか。
聞くときのポイントは、あさ吉さんの発音。これで通じるんだな、と自信を持ってください。そしてお客さんの笑いどころ。オーストラリアのお客さんと、同じところで笑えるでしょうか?それとも違うところで笑うでしょうか?違うところで笑ってもいいんです、だって文化が違うのだから、おかしいと思う所も違います。考えたいのは、日本人にはおかしくないのに、オーストラリア人が笑っているのはなぜなんだろう、というところです。そこに異文化の面白みがあるんですね。

※本文は「CURRENT ENGLISH(時事英語 目指せグローバルな時代の英語力)」2001年11月号特集記事よりの転載です。本文中の「CD」は本誌の特別付録CDを指しています。

「CURRENT ENGLISH」
2001年11月1日発行
KENKYUSHA刊

特集
英語RAKUGOのススメ
“日本の「笑い」を世界へ”
3.落語からRAKUGOへー翻訳への挑戦(P16〜20)
[大島希巳江]

Current English CD[This month's special feature]
特別付録CD

[Track1]英語RAKUGO前説
[Track2]お囃子紹介
[Track3]英語RAKUGO「時うどん」

Recorded in Melbourme,Australia August 28,2001
English-Rakugo
Copyright 2002 Kimie Oshima